本文へ

BRCについて

植物と微生物の力で農業問題解決を目指す
(熊石テクニカルスタッフII)

熊石テクニカルスタッフII 写真1

BRCには、さまざまな分野で活躍する女性が多数在籍しています。そこで、各々のライフスタイルにあった働き方で輝き続ける12名の女性職員にインタビュー。

今回お話しいただくのは、植物-微生物共生研究開発チームでテクニカルスタッフを務める、熊石妃恵さん。

小学生の頃に見たテレビドラマで品種改良について知り、研究職の道へ。仕事に対する思い、やりがい、今後の展望などを語ってもらいました。

プロフィール

  1. 熊石妃恵
  2. 植物-微生物共生研究開発チーム/テクニカルスタッフII
  3. 2018年入所。学生時代は、他の植物から水や栄養を奪う寄生植物の進化に関与する遺伝子について研究。現在は、植物と土壌微生物の共生関係について、主に次世代シーケンシングによる遺伝子発現解析、菌叢解析を担当する。

ドラマに影響され研究職へ 品種改良で食糧問題解決を目指す

研究職を志したのは、小学校高学年の頃に見たテレビドラマがきっかけでした。高校生の主人公が野菜の品種改良に興味を持つ話があったのです。

「品種改良」という聞きなれない言葉が気になり調べると、植物の品種改良は食糧問題の解決に貢献できるということと、その研究を行っている「研究者」の存在を知りました。

また、食糧不足により飢餓で苦しむ人がいるという事実に、当時は強い衝撃を受けました。同時に、「食糧問題を解決するためには何をすべきか」を考えるようになり、その思いが今でも私の軸になっています。

高校卒業後は、植物の生理学や分子生物学について学ぶべく4年制の専門学校へ進学。実験の経験を積みたいという思いがあり、大学と比較して実習時間が多く、高度専門士の称号が付与される専門学校を選びました。実践で得た技術は就職後も非常に役に立っています。

学生時代の縁で理化学研究所へ 若手でも働きやすい環境に感謝

熊石テクニカルスタッフII 写真2 熊石テクニカルスタッフII 写真2

学生時代は、すべてが未知の世界。どんな結果でも胸が高鳴り、研究のおもしろさに魅了されました。特に興味深かったのが、植物病理学の実習です。病原微生物を植物に接種し、感染した植物を観察しました。一部の組織が壊疽した感染葉を植物自ら落とすという反応が見られ、植物の防御応答や生命力に感動したものです。

卒業研究では、理化学研究所 環境資源科学研究センター 植物免疫研究グループに所属し、寄生植物を用いた研究を行いました。寄生植物とは、他の植物に寄生し、養水分を吸収して生育する植物の総称です。宿主植物を枯死させてしまうため、主にアフリカの半乾燥地域を中心に多大な農業被害をもたらしています。このため、世界の食糧安全保障を脅かす病害のひとつとして取り上げられています。

この卒業研究を通じて初めて理化学研究所に関わったのですが、実は当時の指導教官が現在所属しているチームの所属長です。卒業後私は他の研究所に所属していましたが、新しく研究室を立ち上げる際にお声掛けいただき、今に至ります。

ラボメンバーは気さくな方ばかりで、意見が言いやすく、分からないことも聞きやすい雰囲気です。また、各々業務に集中できる職場環境作りがされています。

「やらぬ後悔よりやる後悔」。 新たな目標を追いかける

人生の先輩から、「若いうちにやりたいことはやりなさい、後悔のない人生を送りなさい」と言われます。その言葉の通り、研究ももちろんですが、仕事だけでなくプライベートでもいろいろなことに挑戦したいと思っています。

例えば、海外での生活。19歳の頃に参加した海外研修で初めて外国に行ったとき、見るものすべてが異なることに衝撃と感動を覚えました。“こんな環境で過ごしたら、どんな経験ができるのだろう!”と思い、それから海外旅行が趣味になりました。

さまざまな国を訪れていくうちに、いつか海外で暮らすことが夢に。2022年はその準備期間として、英語の勉強や情報収集をするなど、インプットに力を入れたいと考えています。

他にも、普通二輪免許の取得もいつかチャレンジしてみたいことのひとつです。今後どのような道を選んでも、“やらぬ後悔よりやる後悔”という言葉を胸に、自分の可能性を信じて過ごしたいと思います。

熊石テクニカルスタッフII 写真3