本文へ

理研BRCについて

持病も多様性のひとつ 微力でも誰かの支えになれたら
(谷川テクニカルスタッフII)

谷川テクニカルスタッフII 写真1

理研BRCには、さまざまな分野で活躍する女性が多数在籍しています。そこで、各々のライフスタイルにあった働き方で輝き続ける12名の女性職員にインタビュー。

今回お話しいただくのは、遺伝子材料開発室でテクニカルスタッフを務める、谷川由希子さん。

一度研究職を諦めるも、一念発起し夢を実現。その後出産を機に膠原病を発症し、患者にとっての研究の重要性と、研究の可能性を実感したと話します。仕事に対する思い、やりがい、今後の展望などを語ってもらいました。

プロフィール

  1. 谷川由希子さん
  2. 遺伝子材料開発室/テクニカルスタッフII
  3. 2014年から派遣職員として研究に関わり、2017年にテクニカルスタッフとして入所。2018年、産前産後休業・育児休業中に膠原病を発症するも、2019年に復職。現在は時短勤務の制度を活用しながら、プラスミド等の遺伝子リソースの寄託提供業務及び品質検査を担当する。

大学院を中退しアルバイト生活 諦めきれず再び研究職を目指す

大学では農芸化学を専攻していて、そのまま修士課程まで進みました。ですが、就職活動中に強く志望していた企業からお祈りメールが届き、研究職を諦め大学院を中退することに。

その後一年はカフェでアルバイトをしていたのですが、書店に行くとついつい生命科学系の書籍を買ってしまったりと、研究職への未練を感じながら日々を過ごしていました。そんな中、「失うものはない!」と一念発起して研究派遣に登録し、そこで紹介されたのが理化学研究所でした。

研究所がすごく特別な環境だと思っていた私は、入所前は「寡黙な天才がたくさんいそう」、「仕事に専念している人ばかり」というイメージを持っていましたが、実際はおしゃべり好きな人や、育児や介護を両立して働いている人など、人間味あふれる方ばかりだったのが印象的でした。

チームの皆さんもとても親切で、素人同然の私にも知識や考え方、仕事の進め方などを熱心に教えてくださったので、スムーズに現場になじんでいくことができたと思っています。

出産後に膠原病を発症 同じ境遇の人を救うため仕事に復帰

私は出産をきっかけに膠原病系の指定難病を患っています。発症したのは2018年。最初に告知を受けたときは、治療法がないという現実に強い絶望を受け、毎日悲しみに暮れていました。

一方で、発症から現在までに症状を緩和する新薬が国内承認され、免疫学の研究がすごいスピードで進んでいることを実感。また、その研究が生命科学の力を必要とする患者さんにとって大きな希望になることを、身に染みて感じることもできました。

私たちが扱っている遺伝子材料は、生命科学の研究を正確かつスピーディーに進めるための強い有効性があります。「私の仕事が、同じように苦しんでいる人たちの心と身体を救うことに一役買うかもしれない」。仕事を続けられるか悩んだ時期もありましたが、この思いがモチベーションになり、続けることを決意できました。

同僚も病気のことに理解を示してくれていますし、通院や体調の兼ね合いで週に1回在宅勤務を許可してもらうなど、働き方について柔軟に対応していただいたことにも感謝しています。今後も、同じ境遇の人のためにも、病気と向き合いつつ研究に励んでいきたいです。

今後の研究業に必要なのは“人材の多様性”
女性や若い世代のスキルが重宝される時代に

現在“人材の多様性”という言葉をよく耳にしますが、今後は研究に関する幅広い職種でも、多様な人材を集めることの重要度が高まっていくと考えています。

例えば、研究職というと男性が多いイメージがあるかもしれないですが、理化学研究所では「新規採用時に公平な審査に基づき能力が同等と認められる場合には、女性を積極的に採用している」というスタンスを明言しています。家事を行う割合が多い女性は、掃除をしながら洗濯もするなど、家庭の中でマルチタスク能力が鍛えられていることが多いもの。このような能力は、実験の速さや正確さにもつながっていくはずです。

また若い世代には、ネットリテラシーが身に付いている人、プロレベルの文章やイラストなど、自分の特技をネット上で魅力的に表現することに長けている人も多いです。現在研究の業界では、「オープンサイエンス」といって世界中からウェブで研究の結果にアクセスできるようにするという流れが推進されています。このような仕事には、PCやネットとの付き合いに長けた次世代の力が必要です。

研究業務以外にも幅広い需要があるので、さまざまなスキルを持った方に、研究に関わる仕事を選択肢のひとつとして考えていただけたら嬉しいです。

谷川テクニカルスタッフII 写真3