苦手を克服し工学部に進学
培った知識を活かして新しいことにも挑戦(中田専任技師)
BRCには、さまざまな分野で活躍する女性が多数在籍しています。そこで、各々のライフスタイルにあった働き方で輝き続ける12名の女性職員にインタビュー。
今回お話しいただくのは、実験動物開発室で専任技師を務める、中田初美さん。
新しい部署の立ち上げに携わったり、資格を取得したりと、常にスキルアップを続けています。仕事に対する思い、やりがい、今後の展望などを語ってもらいました。
プロフィール
- 中田初美
- 実験動物開発室/専任技師
- 1994年入所。ジーンバンク室、細胞材料開発室、細胞材料室、遺伝子材料開発室を経て、2001年に実験動物開発室に所属。現在は、マウスの遺伝子判定および技術開発をはじめ、顧客業務・提供・寄託管理に携わる。
高校生から生物に興味を持ち工学部に進学
研究職に就き充実した日々を送る
私が生物系の研究職に興味を持ち始めたのは、バイオブームが起きていた高校生の頃。四国の田舎にある私の通う高校には、地元の企業の寄付によりバイオクリーンベンチなどのバイオに関する機器が揃っており、部活で行っていたニンジンのカルス培養や洋ランの成長点培養におもしろさを感じたのがきっかけです。
高校2年の文理選択の際には、生物を選択すると受験できる学部が限られてしまうため、化学と物理を選択。もともと数学や化学、物理は苦手でしたが、それでも生物系の進路を目指したいと思い、そこから懸命に勉強をして工学部、さらに大学院へ進みました。
そして大学院1年の就職活動を始めたときに、雑誌でたまたま理化学研究所の公募を見つけて応募し、入所が決定。理化学研究所との出会いは偶然なものでしたが、働きやすさ、居心地の良さから、現在まで所属しています。
その理由のひとつが、柔軟な働き方ができる点です。時間の使い方を自分で決められるなど自由度が高く、女性が働きやすい制度や環境も年々整ってきています。私も、研究に没頭したい時期は仕事の比重を大きくしたり、子どもができてからは夕方には帰宅するようにしたりと、その時々に合ったワークライフバランスを実現できています。子どもが大きくなった現在は趣味のヨガやズンバでリフレッシュする時間も取れるようになり、充実した毎日を過ごせています。
培った知識を生かして 新しいことにも挑戦できる
入所から年数が経つと、部署の異動希望も叶いやすくなります。ひとつの場所でやれることをやったら、他の部署で新しい研究を始めてみるのも、知見が広がりおもしろいと思います。
私の場合、入所から7年間は遺伝子材料に関わる部署に所属していましたが、2001年に現在のBRC(バイオリソース研究センター)が設置され、ちょうど産休から復帰するタイミングだったことと、実験動物開発室のリソース業務立ち上げに携わってみたいという思いで部署を異動しました。
ユーザー顧客のデータベースやマウスのカタログの作成など、すべて一からのスタート。新たな分野ではありましたが、以前の部署で培った経験や知識を生かしつつ、満足のいく基盤を築くことができました。
立ち上げから20年が経ち、現在は多くの研究所や大学から依頼を受け、さまざまな研究のサポートに貢献できていると感じています。研究者から、私のアドバイスで研究がうまくいったというご報告をいただけることが、とても嬉しくやりがいになっています。
経験を積むごとに 仕事の楽しさもアップ
私は研究そのものが好きなのですが、年数を重ねるたびにますます仕事が楽しくなっています。というのも、経験値と頑張り次第でできることが広がっていき、自分の成長を実感できるからです。
例えば、資格取得もそのひとつ。理化学研究所に入所してから、情報系の国家資格や品質マネジメントシステム審査員(ISO9001審査員)、国際航空貨物取扱士(IATA航空危険物ディプロマ)、品質管理検定(QC検定)など、業務に直結するさまざまな資格を取得しました。
資格を保有したことで、仕事の幅だけでなく、物事に対する考え方の視野も広がりました。社外で開催される資格維持のための研修やグループミーティングなどを通じて、さまざまな職業の人と会話をできる機会ができたからです。以前民間企業に協力いただいて、遺伝子組換え生物の検査用のキットを開発したときには、そこで出会った方々と意見交換させていただき、とても参考になったということもありました。
現在の目標は、次世代を育てること。私たちが積み上げたことと、若い人の意見を融合できたら、今までにない研究の進め方が見つかるかもしれません。そのためにも、チーム全員で協力して、どの世代の人も働きやすい環境を作っていきたいです。