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活躍するバイオリソース

03すごいぞ!日本のクローン技術

みなさんは体細胞クローンという言葉を聞かれた事があるでしょうか?
SF映画や小説ではよく取り上げられるテーマなので、なんとなく怖いイメージを持っている方もいるかもしれません。体細胞とは私たちの体を主に構成している細胞のことで、体細胞クローンとは体細胞を卵子に注入して、ドナー(元の体細胞を提供した個体)と全く同じ遺伝子を持った個体である「クローン」を新たに作り出すという技術です。 1997年にヒツジを使って初めて報告された比較的新しい生殖工学技術ですが、これまでにマウス・ウシ・ブタ・ヤギ・イヌ・ネコなど15種類以上の動物種で成功が報告されています。 体細胞クローン技術は、医療、基礎生物学、農学、産業、環境保護など幅広い分野に利用できると期待されています。特にバイオリソース研究センターでは、体細胞クローン技術を不妊マウス系統や数が少なくて繁殖が困難な系統を安定して継代するために、技術の開発を行っています。 マウスの場合は数十億個の体細胞を持っていると言われているので、理論的には無数のクローンをこの技術によって作り出すことができます。
ところが、実際にはクローンが生まれてくる数は100個の卵子を母親の子宮内に移植したとしてもわずか1~2匹で、この低い出生率が体細胞クローン技術の普及において大きな障壁となっています。世界中の研究者たちがこの障壁を取り除くべく日々研究を行っており、日本人研究者達はその中でも非常に大きな役割を果たしています。

遺伝工学基盤技術室専任研究員 井上 貴美子の写真
遺伝工学基盤技術室専任研究員

井上 貴美子

リンパ球クローンの写真
リンパ球クローン