GLUT1欠損症の個別化治療に新たな可能性
-モデルマウスの網羅的表現型解析により糖代謝の性差を発見-
理化学研究所(理研)バイオリソース研究センター(BRC)マウス表現型研究開発室の古瀬 民生 上級研究員、田村 勝 室長らの研究チームは、グルコーストランスポーター1欠損症(GLUT1欠損症)[1]のモデルマウスを用いた「マウス版人間ドック」ともいえる網羅的表現型解析[2]により、グルコース投与後に糖代謝およびインスリン動態(食後の血中インスリン濃度上昇に相当)の変化がメス個体で顕著に認められることを発見しました。
GLUT1欠損症は、神経の主要なエネルギー源であるグルコースの脳への輸送障害によって引き起こされる希少な神経疾患であり、てんかん発作や運動障害などを主症状としています。現在のところ治療法の選択肢は限られており、新たな治療戦略の確立および開発が求められています。本研究成果は、GLUT1欠損症に対する新たな薬効評価系の構築や、患者の性別や病態に応じた個別化治療戦略の確立につながることが期待されます。
本研究は、科学雑誌『Disease Models & Mechanisms』オンライン版(9月21日付)に掲載されました。
補足説明
[1]グルコーストランスポーター1欠損症(GLUT1欠損症)
神経の主要なエネルギー源であるグルコースの脳への輸送障害によって引き起こされる希少な神経疾患。厚生労働省が定める指定難病の一つ。
難病情報センター「グルコーストランスポーター1欠損症(指定難病248)」
[2] 網羅的表現型解析
生物の特徴や性質のことを「表現型」と呼ぶ。網羅的表現型解析とは、遺伝子変異が生体に与える影響を明らかにするために、多数の検査項目(例:運動機能、行動、血液検査値、体重、感覚器機能、骨形態)を同じ個体に対して体系的に実施する研究手法。