本文へ

ニュース

生体深部を非侵襲的に観察できる多色発光イメージング用マウス
-マウスの多種多様な細胞・臓器をリアルタイムで可視化-

理化学研究所(理研)バイオリソース研究センター(BRC)実験動物開発室 の仲柴 俊昭 専任研究員、吉木 淳 室長、疾患ゲノム動態解析技術開発チーム(研究当時)の阿部 訓也 チームリーダー(現 バイオリソース研究センター 客員主管研究員)、遺伝子材料開発室 の中島 謙一 テクニカルスタッフII、脳神経科学研究センター 細胞機能探索技術研究チームの宮脇 敦史 チームリーダーらの共同研究グループは、ホタル由来の発光遺伝子を導入し、異なる波長で非常に明るく発光する2種の新しいマウス系統を開発し、生体深部組織の発光イメージング(BLI)[1] を飛躍的に改善させました。

本研究成果は、生体深部の細胞や臓器の振る舞いを非侵襲的に可視化することができる技術であり、今後、がんや免疫反応など病的な状態にある生体システムの理解に貢献するものと期待されます。

共同研究グループは今回、最新の発光システムを利用し、肉眼でも観察可能なほどに全身が明るく光る遺伝子改変マウス系統の作出に成功しました。開発した新しいマウス系統を用いれば、生体深部にある特定の細胞や組織を標識することも、生体外から観察することもできます。さらに、異なる色(黄色と深赤色)に発光するマウス系統を用いることで、同一個体内にある二つの標識組織を同時に検出することも可能になりました。

本研究成果は、科学雑誌『Lab Animal』オンライン版(9月7日付)に掲載されました。

本研究で作製したマウスリソース

    • RBRC10451   C57BL/6J-Gt(ROSA)26Sorem13(CAG-luc)Rbrc/#77
    • RBRC10858   C57BL/6J-Gt(ROSA)26Sorem14(CAG-Venus/Akaluc)Rbrc/#87
    • RBRC10919   C57BL/6J-Gt(ROSA)26Sorem13.1(CAG-luc)Rbrc/#77
    • RBRC10921   C57BL/6J-Gt(ROSA)26Sorem17.1(CAG-Venus/Akaluc)Rbrc/#11

本研究で利用したリソース


[1] 発光イメージング(BLI)
ホタルの光に代表される生物発光を用いたイメージング手法。励起光を必要としないイメージング手法のため、生体組織への損傷も少なく長時間の経時的な観察が可能になる。また、シグナル/ノイズ比が高いため、優れた定量性を持つ。BLIはBioluminescent Imagingの略。