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マーモセットクローンES細胞を樹立
-ヒト疾患モデル霊長類作製の基盤技術に-

理化学研究所(理研)バイオリソース研究センター(BRC)統合発生工学研究開発室の的場 章悟 専任研究員、バイオリソース研究センターの小倉 淳郎 副センター長、公益財団法人実中研 事業開発部の黒滝 陽子 副部長、高次生理学研究部門の佐々木 えりか 部門長らの共同研究グループは、小型霊長類コモンマーモセット(以下マーモセット)の体細胞クローン胚から胚性幹(ES)細胞の樹立に成功しました。

本研究成果は、マーモセットを用いた遺伝子改変個体の効率的作出や、霊長類モデル動物における発生・疾患研究の基盤技術確立に貢献すると期待されます。

これまでマーモセットの体細胞クローン技術はほとんど未開発であり、作製したクローン胚は胚盤胞まで発生することすら成功していませんでした。今回、共同研究グループは、これまでマウスのクローン研究で開発してきたヒストン修飾に関わる3種のエピゲノム制御手法を組み合わせることで、マーモセットにおいてもクローン胚の発生効率を向上させ、胚盤胞を得ることができました。さらに、こうして得たクローン胚盤胞から、遺伝子改変個体由来を含む複数株のクローンES細胞株を樹立しました。今後、貴重なマーモセット個体の復元や、遺伝子改変個体の作出への応用が期待されます。

本研究は、科学雑誌『Stem Cell Reports』オンライン版(11月13日付:日本時間11月14日)に掲載されました。