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新規化合物でクローンマウスの作出効率を改善
-培養液に加えるだけの簡単な処理でクローンが生まれやすく-

理化学研究所(理研)バイオリソース研究センター(BRC)遺伝工学基盤技術室の的場章悟専任研究員、小倉淳郎室長らの共同研究グループは、化合物を胚の培養液に加えるだけで体細胞クローンマウスの作出効率を大幅に改善する手法を開発しました。

本研究成果は、バイオリソースとして貴重なマウス系統の保存・復元や新規疾患モデルマウスの作製などに貢献すると期待できます。

今回、共同研究グループは、理研環境資源科学研究センターのケミカルゲノミクス研究グループで2023年に開発された新規ヒストンメチル化酵素阻害剤RK-701でクローン胚を処理したところ、クローンマウスの作出効率を約5倍まで上昇させることに成功しました。さらに、既に効果があることが知られている別の化合物(ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤)と併用することで、クローンマウスの作出効率は約20倍まで上昇しました。これまで開発されてきた他の手法と比べて、今回開発した手法は非侵襲的で非常に簡単なため、今後、マウスだけでなく幅広い動物のクローン技術への応用が期待されます。

本研究は、科学雑誌『Stem Cell Reports』オンライン版(5月9日付:日本時間5月10日)に掲載されます。