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植物の長期高温ストレス耐性には正確なmRNAスプライシングの維持が重要
-何日も続く高温に適応する作物育種へ期待-

近年の気温上昇によって作物収量が減少しており、植物の高温耐性メカニズムの解明と耐性作物の作出が植物科学の重要な課題となっています。東京農業大学大学院 生命科学研究科の太治 輝昭 教授を中心とし、理化学研究所 バイオリソース研究センター(BRC) 実験植物開発室の小林正智 室長、井内聖 専任研究員が参画する、九州工業大学大学院 情報工学研究院・東京大学大学院 理学系研究科・BRCの共同研究グループは、1)シロイヌナズナ野生系統のうち、長期的な高温ストレスに耐性を示す系統と高感受性を示す系統を用いて長期高温ストレス耐性に寄与するLHT1遺伝子を発見、さらに、2)長期高温耐性を欠損したシロイヌナズナsloh3, sloh63変異株を単離し、原因遺伝子を同定しました。これらの遺伝子は、mRNAスプライシングに関与するRNAヘリカーゼをコードするMOS4関連複合体の遺伝子でした。シロイヌナズナの長期高温に対して高感受性を示す野生系統や、sloh3, sloh63変異株では、長期的な高温ストレス下で有害なスプライシング現象が広く見られました。これらのことから、MOS4関連複合体の正確なmRNAスプライシング維持が長期高温耐性に不可欠なことを明らかにしました。今回の成果は、何日も続く高温に適応する作物育種へつながる成果です。

本研究成果は『PNAS Nexus』オンライン版(11月14日付)に2報掲載されました。