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クマバチから補酵素NADの合成能を欠損する自力では生育できない乳酸菌を発見
-クマバチ属に共通のコア腸内細菌群を親子間で伝播・維持する生態が判明-

東京農業大学大学院 分子微生物学専攻 資源生物工学研究室を中心とし、バイオリソース研究センター 微生物材料開発室 大熊 盛也 室長、坂本 光央 専任研究員が参画する研究チームは、花と花を訪花する昆虫に共通に生息する嫌気微生物の研究を進める中で、クマバチ属には、同じ花を訪れるミツバチやマルハナバチとは分子系統が顕著に異なるコア腸内細菌群が存在することを発見し、2016年から7年間の調査を行いました。

クマバチは、ミツバチと同じ花を訪花する花粉媒介昆虫ですが、集団で社会生活を営む真社会性昆虫のミツバチとは異なり、木や竹に穴を開けた巣の中で単独または少数の雌バチが子育てをする亜社会性昆虫の仲間です。日本各地のクマバチを採取し、その腸内細菌解析を進めた結果、その多くが培養困難な難培養性の微生物で構成されており、大学院生(当時)の森 達則、小澤 芳里、山本 安里沙らを中心として無酸素培養や微生物培養液を培地に添加することで、一部の嫌気微生物の単離に成功しました。

単離に成功した微生物の全ゲノム解析を行った結果、既知の微生物では報告例の無い、生命代謝に必須の補酵素NADの合成遺伝子を特異的に欠損する自力では生育できない微生物であることが判明しました。同じ花を訪花するミツバチの腸内細菌叢と比較解析をしたところ(メタ16S rRNA遺伝子解析)、クマバチに共生する腸内細菌種は分子系統が顕著に異なることから、クマバチ属は太古の昔から独自の腸内細菌叢を維持し、子孫に伝播・保持してきたクマバチ属固有の生態系の存在が明らかとなりました。

本研究成果は、国際科学雑誌「Microbiology Spectrum」に2023年6月22日に掲載されました。