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持続可能な農業のための堆肥-土壌-植物相互作用モデル
-好熱菌を活用した脱化学肥料・脱化学農薬農法の可能性を探る-

理化学研究所(理研)生命医科学研究センター 粘膜システム研究チームの宮本 浩邦 客員主管研究員、大野 博司 チームリーダー、マイクロバイオーム研究チームの須田 亙 副チームリーダー、バイオリソース研究センター 植物-微生物共生研究開発チームの市橋 泰範 チームリーダー、光量子工学研究センター 光量子制御技術開発チームの守屋 繁春 専任研究員、和田 智之 チームリーダー、環境資源科学研究センター 代謝システム研究チームの平井 優美 チームリーダー、環境代謝分析研究チームの菊地 淳 チームリーダー、千葉大学大学院 園芸学研究院の児玉 浩明 教授、金沢大学 疾患モデル総合研究センターの西内 巧 准教授、福島大学 食農学類の二瓶 直登 教授、北里大学 医療衛生学部の佐藤 隆司 講師らの共同研究グループは、堆肥-土壌-植物の相互作用モデルを構築することに成功しました。

本研究成果は、持続可能な農業の推進に貢献すると期待できます。

世界的な食糧不足を解消するために、作物の増産と栄養価を高め、かつ窒素系化学肥料や化学農薬を使用しない環境保全型の農業技術が求められています。

今回、共同研究グループは構造方程式モデルを用いて、「好熱菌」を活用した堆肥が土壌と植物に与える作用機序を予測しました。その予測に基づき、パエニバシラス属(Paenibacillus)という土壌共生菌の候補を単離し、ゲノム解析と生物活性評価を行いました。その結果、これらの土壌細菌の共生系が化学肥料を使用しなくても空気中の窒素ガスを有効利用でき、かつ温室効果ガスである一酸化二窒素(N2O)の土壌からの発生抑制につながる可能性が示されました。

本研究は、科学雑誌『ISME Communications』オンライン版(3月31日付)に掲載されました。