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アーキアに寄生するナノアーキア
-微生物ダークマター代表格のリソース化に成功-

理化学研究所(理研)バイオリソース研究センター微生物材料開発室の加藤真悟上級研究員、大熊盛也室長、産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門地圏微生物研究グループの金子雅紀研究グループ付らの共同研究グループは、好気条件で容易に培養可能な、数百ナノメートル(nm、1nmは10億分の1メートル)サイズの絶対寄生性ナノアーキア(古細菌)のリソース化に成功しました。

本研究成果は、「微生物ダークマター」(機能未知の未培養微生物群の総称)の代表格である、寄生もしくは共生性ナノアーキアのさらなる培養・リソース化への足がかりになるだけでなく、ナノアーキアの謎に包まれた生態学的役割や、初期生命の進化過程の解明にも貢献すると期待できます。

今回、共同研究グループは、国内の酸性温泉から、細胞サイズが数百nmのナノアーキアを培養することに成功しました。このナノアーキアは、宿主となるアーキアの細胞表面に付着し、細胞膜に穴を開けて、そこから細胞質を吸い取るという類例のない増殖方法をとっていることが示唆されました。

共同研究グループは、このナノアーキアをNanobdella aerobiophilaと命名し、国際原核生物命名規約に則って新属新種として提唱し、正式に認められました。このナノアーキアは好気条件で増殖できるため、ごく一般的な研究施設にて容易に培養可能であり、今後、モデル生物として広く利用されると期待できます。

本研究は、科学雑誌『International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology』オンライン版(8月22日付:日本時間8月22日)に掲載されました。