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1細胞遺伝子発現解析用サンプル多重化のための新技術
-細胞の種類によらない、簡便・低コストの細胞標識手法を開発-

理化学研究所(理研)バイオリソース研究センター疾患ゲノム動態解析技術開発チームの杉本道彦開発研究員、阿部訓也チームリーダーらの共同研究グループは、1細胞遺伝子発現解析において、複数の細胞サンプルをまとめた後、1回の実験操作で解析する「サンプル多重化」が、あらゆる細胞に対して効率よく行える新しい細胞標識手法を開発しました。

この技術を用いることで、1細胞遺伝子発現解析のコスト低減と高精度化につながるサンプル多重化を簡便かつ確実に行えるようになるため、本研究成果は1細胞遺伝子発現解析のさらなる普及に大きく貢献すると期待できます。

1細胞遺伝子発現解析では、サンプルを多重化することでバッチ効果などのエラーの低減や実験コストの削減が可能になります。この際、あらかじめ各サンプルを固有のバーコードDNAで標識し、各細胞がどのサンプル由来かを追跡できるようにします。しかし既存の手法では、細胞表面抗原に対する抗体を利用するため、発現している表面抗原の種類に依存することになり、細胞の種類によってはうまく標識できないという問題がありました。

今回、共同研究グループは、細胞表面タンパク質をビオチン化することにより、ビオチン結合タンパク質であるストレプトアビジン[5]を介してバーコードDNAをどのような細胞にも結合させることのできる手法を開発し、「Universal Surface Biotinylation(USB)法」と名付けました。

本研究は、科学雑誌『DNA Research』オンライン版(6月16日付)に掲載されました。