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胎盤らしさを支える分子基盤を解明
-胎盤の細胞は高度に安定化されたクロマチン構造をとる-

理化学研究所(理研)バイオリソース研究センター遺伝工学基盤技術室の羽田政司客員研究員、小倉淳郎室長(開拓研究本部小倉発生遺伝工学研究室主任研究員)らの共同研究グループは、将来胎盤を構成する「胎盤系列の細胞」は巨大なヘテロクロマチン構造をとり、これらが胎盤の細胞を維持させるために重要であることを明らかにしました。

本研究成果は、胎盤研究のさらなる発展のみならず、胎盤形成異常に由来する胎児発育不良の改善など、医療分野にも貢献すると期待できます。

胎盤は発生の最も初期に将来胎児を構成する「胎児系列の細胞」から分化する組織ですが、その詳しい制御機構は不明でした。

今回、共同研究グループは遺伝子発現に抑制的なエピゲノム情報であるH3K9me3(ヒストンH3の9番目のリジン残基に対するトリメチル化修飾)に着目し、胎盤系列と胎児系列の細胞におけるゲノム局在を網羅的に解析したところ、胎盤系列の細胞では高度に安定化されたH3K9me3のドメイン構造「THD」が多数存在することが分かりました。また、このTHDは細胞核のエピゲノム情報をリプログラミング(初期化)させる手法である体細胞核移植法に強い抵抗性を示しましたが、THDを取り除くことで世界初の胎盤系列細胞に由来するクローンマウスを作出することに成功しました。

本研究は、科学雑誌『Genes & Development』オンライン版(1月6日付)に掲載されました。