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実験用マウスはメラトニンを合成できないので合成できるようにした
-時差ぼけ、成長、繁殖効率、消費エネルギーを調節-

理化学研究所(理研)脳神経科学研究センターキャリア形成推進プログラムの笠原和起上級研究員、バイオリソース研究センターマウス表現型解析開発チームの古瀬民生開発研究員、三浦郁生開発技師、ニューヨーク州立大学バッファロー校医学・生物医科学部のマーガリータ・ドゥボコビッチ教授、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学/医学部精神医学講座の加藤忠史主任教授らの国際共同研究グループは、メラトニンを合成できる実験用マウスを開発し、哺乳類においてメラトニンが時差ぼけの解消や日内休眠に関わることを明らかにしました。

メラトニンは夜間に脳内で分泌されるホルモンで、体内時計や光周性などの調節に関わると考えられています。しかし、実験用マウスは長い間飼育環境に置かれ続けたためにメラトニンを合成できなくなっていることから、メラトニンの機能はよく分かっていませんでした。

今回、国際共同研究グループは、メラトニンを合成できる実験用マウス系統を開発し、メラトニンの生理学的機能を精査しました。その結果、これまでに推定されていた睡眠覚醒リズムや繁殖効率への効果を確認した一方、寿命延長効果は認められませんでした。また、メラトニンが飢餓状況における消費エネルギーの節約に関わっていることを発見しました。

本研究は、科学雑誌『Journal of Pineal Research』(オンライン版6 月4 日付)に掲載されました。